筋ジスと

筋ジスのこと、たまには筋ジスと関係ないことも。思うままにつらつらと。

遺伝カウンセリング

今日は遺伝カウンセリングのお話。

 

私は筋ジス発症後に結婚したのですが、当時子どもは考えていませんでした。というのも、私自身両腕の筋力が落ちていて抱っこもできない状態で満足に育児ができるとは思えなかったことと、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーは優性遺伝のため2分の1の確率で子どもにも遺伝してしまうことが分かっているからです。

 

しかし、結婚後1年を過ぎたころからやっぱり子どもが欲しいなという気持ちがうっすら出てきて、子どもを望むかどうかはひとまず置いといて、(望んだところでできるかどうかもわからないし)とりあえず相談だけでもしてみようか、という気持ちで夫と遺伝カウンセリングを受けに行きました。

 

私は東京医科歯科大学の医学部付属病院の神経内科筋ジストロフィーを診てもらっていたので、そのまま東京医科歯科大学医学部付属病院の遺伝カウンセリング外来を受診しました。

Vol.2 遺伝カウンセリング外来 - 東京医科歯科大学医学部附属病院

 

私の相談事はそもそも妊娠・出産が可能なのかどうか、体外受精で受精卵を子宮に戻す前に遺伝子検査をする方法で、健康な遺伝子を持った子どもを妊娠することはできないのか、ということです。

 

遺伝カウンセリングでは遺伝の専門医、周産期の専門医、助産師がそれぞれの見解を分かりやすく説明してくださいます。

 

遺伝の専門医からは、筋ジスについてあまり知識のない夫にも分かりやすいように、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーの特徴と今後の進行の見通し、遺伝性の疾患であり子どもを持った場合50%の確率で遺伝してしまうことの説明がありました。そして、出生前診断は不可とのことでした。これはとても難しい問題で、私の体から卵子を採取してその遺伝子について検査することは技術的には可能なのですが、私のような軽い障害の場合、倫理的な理由から検査は認められておらず、医科歯科大でも実施していないということでした。

 

いやいや、確かにすぐ死にはしないし、ギリギリ自活できなくもないし、私自身結婚もできて子どもどうしようかーと悩む程度には生活できているけども!!でもとても不自由で諦めていることも多いし、同じ苦労を子どもにも掛けたくないし、技術的に可能なら筋ジスではない子どもを産ませてくれよーー!!!と思うのですが現状では無理なようです。

 

「上記の方法が可能ならあなたも今生まれていない可能性があるんですからね!」と言われれば、ごもっとも!その通り!なのですが、私はそれでいいと思っています。今それなりに幸せだけど、やっぱり筋ジスじゃない人生の方がよかったもんなー。

 

周産期の専門医は筋ジスの方が妊娠出産した場合、どのようなリスクがあるのか論文等を調べてきてくださったのですが、あまりデータがないようでした。顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーに限ったデータはなく筋ジス全体での傾向として①胎児のリスクは羊水過多、低体重、早産②妊娠中病気が進行してしまう人が2~3割③出産時は通常分娩が難しい場合がある④全身麻酔の際は病気が悪化する可能性がある⑤病院は設備・スタッフが揃っているところを選ぶ⑥上記の理由で田舎に里帰りよりは都内で出産がおすすめという見解でした。(この辺りはまた詳しく書きたいと思います。)

 

助産師さんは何とかなるわよ!頑張って!って感じでした。(実際はこんな無責任な感じではなく色々アドバイスをくれた気がしますが、まあ概ねこんな感じ)

 

遺伝カウンセリングは完全予約制な上、全額自費なので受診のハードルはやや高めですが、丁寧に時間をかけて説明してくださるので、遺伝について不安がある方は1度受けてみるといいかもしれません。

 

我が家はこの後、夫婦で話し合い子どもが欲しいという結論になったのですが、今思えば相談に行った時点で心は決まっていたのかもしれません。