筋ジスと

筋ジスのこと、たまには筋ジスと関係ないことも。思うままにつらつらと。

子どもに病気をどこまで説明するか

今日は顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーについて自分の子どもにどこまで説明するかというお話です。「お母さんは病気でだんだん筋力が弱っていってしまうんだよ」ということと「あなたたちも同じ病気になる可能性があるんだよ」という2つのことについて。

 

私の子どもは現在4歳の男の子と8か月の男の子の2人です。8か月はまだ言葉が分からないので、ちょっと横に置いといて、4歳の子には私が病気で力が弱いということはずっと伝えています。

 

長男「おかーさん!だっこーーー!!!」

私「無理ー」

長男「なんでー」

私「病気で腕の力が弱いから持ち上がらないのー」

 

って感じです。それで納得しているようで何の病気かとか、治るのかとか聞かれたことはありません。次男が段差をのぼってしまって降りられなくなっているときも、私ではどうにもならないことが分かっているので夫を呼びに来てくれますし、高いところにしまってあるおもちゃも夫に頼んで取ってもらっています。つまり、私が何かしらの病気でできないことが色々あるということは理解しているようです。

 

私への理解は今のところそれで充分なのですが、この病気が遺伝性の疾患で子どもたちにも同じ症状が出る可能性があるということをいつ話すべきか、はたまた話さないべきかという大きな問題があります。

 

私の場合、自分が病気だとは疑うこともなく高校、大学、就職先を選択して結局目標を一から立て直すことになったので、自分が病気になると分かっているなら発症前の段階で(進路選択をする前の段階で)知っておきたかったです。そしたら、デスクワークで稼げそうな資格の勉強とかしといたのに。あとパソコンの勉強とか。デザインの勉強とか。それから語学とか。(と言いつつ、実際に分かっていてもぐうたら過ごすタイプかもしれないけど)

 

それから趣味も、続けられそうなやつを1つ2つ見つけておきたかったです。今はピアノも弾けなくなり、ベースも弾けなくなり、テニスもラケット持ち上がらないし、水泳も水がかけないし、スキー&スノボも足に力が入らなくて怖いし。今から新しいことを始めようと思っても、その最初の一歩がとても億劫で。やってみたい楽器とか手芸とかなくはないのですが「体が不自由なのですがその体験教室には参加できますでしょうか?」と連絡を取り、その会場まで自力で出かけるというのがハードルが高いです。そしてそれが自分に合うか、そもそもできるかもわからないですし。

 

ということで、自分がこの先体が不自由になると分かっているなら、それに備えて色々準備しておきたい派の私は、病気についてはちゃんと話しておいてほしい派です。

 

ここで難しいのが私の子どもたちはまだ筋ジスになるかどうかが分からないということです。遺伝子検査をすれば分かるのですが、それを親の希望ですることはできません。子どもたちが自分で判断できる年齢になり(目安は16歳くらい)、自ら希望すれば遺伝子検査が受けられるようです。ちなみに医師は発症前の遺伝子検査には反対の立場でした。私の発症時に下の妹が「自分も筋ジスになるのか気になる」と言ったことがあったのですが、もし筋ジスだと分かったとしてもできることはない上に、不安ばかりがつのり、鬱等の別の病気になってしまう危険があるという理由で反対されました。うん、分からないではないです。それでも私は事前に聞いておきたい派ですが。

 

また、自分だったらと想像すると、発症するかもしれないことが分かっていたのに、話してくれなかったということは、隠されていたという気がして嫌な気持ちになります。そんなことは聞きたくなかった、何も知らずに楽しく毎日を過ごしていたかったと思う人もいるかもしれないのでそこは自分の子どもがどういう価値観の持ち主かを見極める必要があるのかもしれません。

 

まだ4歳の長男ですが、でも生まれてから今まであっという間だったので、これからもあっという間に時が過ぎて気が付けば小学生になって、病気のことも理解できるようになるでしょう。今はインターネットも身近ですし、子どもでも筋ジストロフィーについて知識が得られる時代です。そこで1人で悩んでしまわないように、私からもきちんと説明して、正しい知識を伝えて、でも幸せになれるんだよということを見せていきたいと思っています。今のところは。本人の希望があれば、遺伝カウンセリングを一緒に受けに行こうと思いますし、遺伝子検査を受けたいというのであれば、その意思も尊重したいと思います。そしてその後のフォローも。

 

でも私の場合、大人になって発症してから自分が筋ジスと知ったのですが(22歳~23歳)、その年齢だからよかった面もあったのかもしれません。思春期って何もなくても悲劇のヒロイン期のようなもので、精神的にとても脆い時期だと思うので、その時に病気のことで思い悩むのは負担が大きいような気もします。大学の時、50代の女性教授が「若いあなたたちは悩むことも多いと思いますけど、年をとると悩み事がだんだん減っていくのよ。信じられないかもしれないけど、今、毎日がとても楽なの」とおっしゃっていたこと、30代になって少しずつ分かるようになってきました。悩む、というのはそれだけ選択肢があるということ。年を取るにつれ取捨選択を迫られ、ある程度まで行ったら選択した道を進むだけになるのでしょう。世界の狭さというか広さというか、それが分かるというのも大きいのかもしれません。

 

ちょっと話が飛んで行ってしまいましたが、私と違って、私の息子の場合は、「えー筋ジスなんて知らなかった!」は出来ないので、きちんと説明して、でも自分の力で生きていけるような子に育てていきたいと思っています。でも具体的に何と説明するのか、さらっと言うのか、時間と場所を設けて(なんなら医師も同席して)どっしり言うのか、兄弟に1人ずつ説明するか、まとめて説明するか、まだまだ考え中です。