筋ジスと

筋ジスのこと、たまには筋ジスと関係ないことも。思うままにつらつらと。

妊娠のリスク

以前、私が受けた遺伝カウンセリングについて書きましたが、今日はその中から特に周産期の専門医から教えてもらった筋ジストロフィーの人が妊娠した場合のリスクについてのお話です。

 

過去の記事はこちら↓

 

underg.hatenablog.com

 

①胎児のリスクは羊水過多、低体重、早産

これは私の問題ではなく、赤ちゃんのリスクです。どうして筋ジストロフィーだとこのようなことが起きるのかは分かっていませんし、全く起こらない可能性もあります。対策としては周産期外来にて妊娠経過をしっかりみていくことになります。実際私が妊娠したときは妊娠中期に入ってからも3週間に1度検診に通い、その度に内診をして赤ちゃんの様子を観察していましたし、超音波スクリーニング検査も受けました。(通常妊娠中期は4週に1度の検診で腹部エコーのみ、内診は必要に応じてという場合が一般的です)

 

結果的には私は子ども2人とも羊水量も適量、発育も順調でしたが、きめ細かく見てもらえたことで安心できました。

 

②妊娠中病気が進行してしまう人が2~3割

これは妊娠した母親のリスクです。ただ難しいのが、妊娠そのもののせいで病気が進行したのか、妊娠で運動量が減り筋力が落ちてしまって回復しないのかが分からないので、妊娠が筋ジストロフィーにはよくないとは断言できません。私の場合、体調が悪かった(つわりが・・・)のもあり運動量が減ったのでやはり少し筋力は落ちたように思います。とはいえ日常生活に劇的な変化はありません。

 

③出産時は通常分娩が難しい場合がある

これは両方のリスクなのですが、出産には全身の筋力を使うようで、筋ジストロフィー患者では出産に耐えられないのではというものです。うまくいきめないとお産が進まず、胎児が危険になった場合は緊急帝王切開になる可能性があるということです。私が出産した東京医科歯科大学の附属病院ではひとまず通常分娩(経腟分娩)にチャレンジしてみて、無理そうなら帝王切開に切り替える、つまり予定帝王切開はしないという方針でした。

 

結果的に2人とも通常分娩で出産しましたが、出産に限って言えば、筋力が弱いから大変だったということはありませんでした。逆に健常者より安産のスピード出産だったくらいで、陣痛も楽でした。ただ分娩台へ自力でのぼるのは大変で、妊娠中によじ登る練習をさせられました(笑)

 

全身麻酔の際は病気が悪化する可能性がある

これは③で緊急帝王切開になった場合、全身麻酔となる場合があるが、それが筋ジストロフィーの進行に関係する可能性があるという話です。麻酔については使えないものもあるということで、私は妊娠中に麻酔科医と面談をして薬の説明を受けました。そのとき、私は以前、筋生検を受けた際に麻酔の効きが遅い(効きが悪いのではなく、遅い!!!)のを実感していたのでそのことも相談しました。

 

結果的に③で書いた通り通常分娩だったので麻酔は使用せずに済みましたが、麻酔科医との面談で不安は軽減されました。

 

⑤病院は設備・スタッフが揃っているところを選ぶ

胎児にも妊婦にも上記の通り通常の妊娠よりリスクが高いため、個人のクリニックや助産院ではなく総合病院で、その中でもなるべく設備・スタッフが揃っているところで出産するべきとのことでした。

 

⑥上記の理由で田舎に里帰りよりは都内で出産がおすすめ

私は東京医科歯科大学の附属病院で出産することを選びました。神経内科にかかっていたのでデータがありましたし、遺伝カウンセリングで周産期の先生とお話もできたので、1から別の病院で説明しなくてもよくて楽ちんでした。妊娠中から出産までの期間では助産師さんやソーシャルワーカーさんにも助けていただいて、不安を1つずつ解消していくことができました。

 

 

妊娠前は不安しかなかった障害者が子どもを持つということ。そもそも私は遺伝性の疾患をもつ障害者が子どもを持つということに否定的な意見でした。遺伝カウンセリングを受けた後の夫の意見は「リスクがあるのは分かった。でも今日言ってたことって誰にでも起こりうることだよね」でした。確かに、健康な人でも早産になることもあるし、緊急帝王切開になることもあるし、子どもに先天性の疾患があることもあります。うーん、確かに、確かに。夫は非常にポジティブな人です。

 

子どもが2人いる今の生活は、とても充実した日々ですが将来について焦りもあります。夫は私のことを「幸せそう☆」と思っているようで、子どもがこの後、筋ジストロフィーを発症したとしても自力で生きていける、幸せになれる、と信じています。私はできる限り同じ苦労はしてほしくないので、早く治療法が見つかることを祈っていますし、仮に治らなかったとしても、技術が発達してロボットが動きをアシストしてくれて不自由がなくなればいいと思っています。

 

他力本願だけではなく、私も子どもに楽しく生きている姿を見せて、もし病気だとしても幸せだという身近なロールモデルになりたいと思います。

 

でもでも治るに越したことはないけどね。